●正中頸嚢胞
先天的に首の前(舌の付け根)に袋が出来ます。炎症を起こすと腫れて大
きくなります。基本的には経過を見ていくのが良いかと思
います。抗腫瘍剤の注入にて袋を閉鎖させる治療や摘出術が有効でもありますので耳鼻咽喉科を受診してください。
●術後性頬部嚢胞
昔の蓄膿症手術の合併症です。以前は歯肉部や眉間を切って蓄膿症の手術を行っていましたが、平均10〜20年程度で、膿の袋が形成されて再発します。急激
に頬が腫れ、痛みを伴います。眉間を切った場合は目の周り、前頭部が腫れ、眼球や脳を圧迫することもあります。抗生剤の内服や歯齦部より針を刺して内容物
を排液することで一時的には改善しますが、繰り返すようであれば手術の適応です。内視鏡で鼻内から嚢胞を穿破することで治療が可能です。
●鼻 副鼻腔腫瘍
一般的に副鼻腔癌はかなり進行するまで自覚症状を呈しない。従って発見されたときにはステージV、IVの進行癌が多い。
一方鼻腔癌は比較的早期から症状が出やすい。
a)鼻腔癌:
早期に鼻閉、血性鼻漏などの鼻症状を呈する。
篩骨洞に浸潤すると流涙、眼球偏位、内眼角部 の腫脹が出現。
b) 副鼻腔癌
@上顎洞癌:
腫瘍の進展方向により症状が異なる。
また腫瘍の進展方向の内眼角から下顎角を結ぶ線を想定(Ohngren 線;Line of malignancy)し、この線より上方の眼窩、 頭蓋底に進展する上方型と、口蓋、歯槽骨に進展する下方に分類する。
 
A篩骨洞癌:
早期に眼窩内側壁を破壊して眼球突出や、流涙、複視などの 眼球運動障害を生じたり、前頭蓋底に浸潤した場合は頭痛等をきたす。
B前頭洞癌:
非常に稀であるが、初発症状としては、眼球突出、前頭部腫脹 があり、前頭蓋底に浸潤すると頭痛をきたす。
C蝶形骨洞癌:
解剖学的に海綿静脈洞に近接しているため、視神経、外転神経 動眼神経、滑車神経、三叉神経などの脳神経症状を早期からきたす場合が多い。
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